千葉のホームページ制作会社/デザインエンジニアリング

介護報酬改定

【介護サービス事業者必見】2025年度から始まる新しいルール

2024年の介護報酬改定で、「書面掲示の規制」の見直しが打ち出されました。全ての介護事業が対象になっていますので、チェックが必要な内容です。
とはいえ、「そもそも書面掲示の規制って何?」「以前から重要事項は掲示してるけど?」と疑問に感じておられる管理者さんもいるのではないでしょうか。

今回の記事では、2024年から新たにルール化された「書面掲示に関する基本的な内容」や「ホームページを活用した便利な情報開示のポイント」について解説していきます。
この記事を読んで書面掲示への対応ポイントをおさえておけば、適正なサービス提供が保障されるだけでなく、運営指導で行政から指摘されることもありませんので、介護サービス事業所の管理者さんは必見です。

1.書面掲示に関する新ルール

【介護サービス事業者必見】2025年度から始まる新しいルール/千葉のホームページ制作会社 デザインエンジニアリング
書面掲示については、介護保険制度の開始からルール化されていました。どの施設でも見やすい場所に事業運営や介護サービスに関する情報を印刷して掲示しているかと思います。
では、今回の改正で何が見直しされたのでしょう。

①書面掲示の基本ルール

書面掲示で公開する情報は、いつでも、誰でも見られるように掲示しておくことが基本ルールとなっています。
運営基準で定められている具体的な項目は次のとおりです。

  1. 運営規程の概要
  2. 従業者の勤務の体制
  3. 協力医療機関
  4. 利用料その他のサービスの選択に資すると認められる重要事項

これらの基本情報を、事業所の見やすい場所に掲示することが基本ルールです。

②インターネット上での掲示が義務化

今回24年ぶりに改正された書面掲示のルールですが、介護保険が始まった2000年に比べると、インターネットで情報が取れることが当たり前の時代になっています。

さらに介護サービスは種類や内容が多様化・複雑化して、「誰にとっても分かりやすい制度」とは言い難い状況です。同じ種類のサービスなのに事業所によって内容や料金が異なるので、どのサービスを選べばいいのか、利用者や家族は戸惑ってしまいます。

ホームページで掲載する

WEB上で情報公開をおこなう方法として、事業所のホームページを活用することが有効です。
すでにホームページがあれば、書面掲示の基本ルールに則って情報を公開しましょう。

介護サービス情報公開システムで掲載する

事業所にWEB環境がない、またはホームページを運営していない場合は、介護サービス情報公開システムというサイトを活用しましょう。

このサイトは、介護サービスを利用したい人が事業所選びをしやすいように全国の介護サービス事業所の情報を検索・閲覧できるサイトです。スマートフォンにも対応しているので、幅広く情報収集できるようになっています。

このシステムは都道府県ごとに設置運営されていますので、自事業所のデータを入力する際は、あらかじめ付与されたパスワードで専用サイトからログインし、必要事項を入力しましょう。

③WEB掲載が義務化されるのはいつか

令和7年3月末までは努力義務なので、それまでは「できるだけWEB掲載しましょう」という程度です。
とはいっても、本格義務化は令和7年4月1日からとなっています。年度初めは体制変更届の提出やBCP義務化など管理者さんは大忙しになることが予想されますので、なるべく早い時期に掲載手段を確保し、書面掲示するよう心がけましょう。

2.入所系サービスでの掲示ポイント

特別養護老人ホームや老人保健施設など入所施設での掲示やWEB掲示でのポイントを紹介します。
【介護サービス事業者必見】2025年度から始まる新しいルール/千葉のホームページ制作会社 デザインエンジニアリング

①どのように掲示するか

入所施設においては、入居者に見やすく、分かりやすく掲示することが重要ですので、どこに掲示するかよりも、どのように掲示するかという視点が重要です。

掲示板と言いつつ小さい文字でたくさんの紙が天井と変わらないほど高い場所に掲げられていたのでは、車いすの方や目の悪い方には何も見えません。

そんな時は、必要な書類を見やすい大きさで印刷し、それらを綴じたファイルを共用スペースなど手の届くところに置いたり、入居者や家族が面談できる場所に書庫の一つとして並べたりすることも有効です。

②掲示内容のポイント

「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」によると、掲示すべき重要事項として次の項目が示されています。

  • 運営規程の概要
  • 従業者の勤務の体制
  • 協力医療機関
  • 利用料
  • その他のサービスの選択に資すると認められる重要事項

これらの情報は事業運営を見える化するだけでなく、加算や報酬単価など利用料の根拠になります。介護施設を探している人にとって費用面は大事な判断材料にもなりますので、必ず掲示しましょう。

③掲載した情報を更新するルールは?

掲載した情報を更新するルールは示されていません。
しかし、事業所名や所在地、管理者が変更になった場合などは速やかに自治体に届け出る必要があるので、そのタイミングを一つの目安にしましょう。

ちなみに運営規定や職員体制が変更になった場合、事業所は翌年度のはじめに変更届を行政に届けなければなりません。
また介護サービス情報公開システムの更新は毎年11月となっていますので、これらの時期に掲示の更新をおこなうのもいいでしょう。

3.在宅サービスでのポイント

デイサービスなどの通所系サービスやホームヘルパー、訪問看護といった訪問系サービスは、事業所内で掲示はしているものの、必ずしも利用者が閲覧しやすいとは言い難いのではないでしょうか。
この章では在宅サービスにおける書面掲示のポイントを紹介します。

①掲示すべき重要事項

居宅サービスでは、掲示すべき重要事項として次のような項目が示されています。

  • 運営規程の概要
  • 訪問介護員等の勤務の体制
  • その他の利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項

訪問介護サービスの項目に記載されていますが、そのほかの在宅サービスにも準用される内容です。

②掲示場所のポイント

デイサービスでは利用者が事業所に通ってくるので、ホールなど目につきやすいところに掲示できます。一方、ホームヘルパーのようにスタッフが利用者の自宅へと訪問する事業の場合、事業所で掲示していても利用者の目に触れない場合はどうすればよいのでしょう。

運営基準ではこのような場合の対処法は示されていませんが、一つの方法として利用開始の際に交わした契約書や重要事項説明書を、利用者の手が届く部屋のどこかで保管してもらうということがあげられます。

この対応は、居宅介護支援事業所のケアマネジャーも同様といえるでしょう。

③WEB掲載上のポイント

介護サービスは単価や加算も複雑な上に、3年ごとの報酬改定で利用者負担額は毎回変動しているのが現状です。
そのため、WEBを活用して、サービス内容や利用料など最新情報を公開して、利用者にとって利用しやすい、または選択しやすいようにしておくことが重要です。ちなみに、WEBで公開したあとも事業所での書面掲示義務は継続しますので、注意しましょう。

4.運営指導への対策ポイント

管理者さんの中には、運営指導と聞くだけでビシッと背筋が伸びる人もいるのではないでしょうか。
そもそも運営指導は、行政担当者が事業所に直接おとずれて、適切な運営がおこなわれているか、利用者目線でサービスが提供されているか、書類や設備など確認することをいいます。その中で、行政担当者が書面掲示について確認する項目があることは、あまり知られていません。

①自主点検表

事業所が運営指導を受ける際には、必ず自主点検表を提出しなければなりません。
これは介護事業所において、年1回自らの運営やサービスについてセルフチェックすることが義務づけられている書類です。

では、自主点検表の中で書面掲示について具体的にどういった内容が記載されているのか見ていきましょう。参考として京都府が公開している介護老人福祉施設の点検項目を抜粋して紹介します。

主眼項目 着眼点等 備考
第34 掲示 (1) ①当該施設の見やすい場所に、運営規程の概要、従業者の勤務体制、協力医療機関、利用料その他のサービスの選択に資すると認められる重要事項を掲示しているか。 ・掲示でない場合、代替方法確認する

・掲載先を記入

同 (2) ②重要事項を記載したファイル等を介護サービスの入所申込者,入所者又はその家族等が自由に閲覧可能な形で当該指定介護老人福祉施設内に備え付けることで同条第1項の掲示に代えることができることを規定したものである。
同 (3) 原則として、重要事項をウェブサイトに掲載しているか 令和7年3月31日までは努力義務(経過措置)

なお、自主点検表は都道府県または市町村担当課のホームページに掲載されていますので、最新版を確認しておきましょう。

②運営指導マニュアルに記載されている現地調査

国は令和4年に運営指導の標準化を図るため運営指導マニュアルを定めました。これにより、運営指導にあたる行政職員の主観的な指導やローカルルールの波及を防ぐことができ、事業所、行政双方が納得のうえ運営指導が実施できるようになったのです。

運営指導は、自主点検表や介護記録、給付管理や個別支援計画書などを行政担当者複数名で確認していきます。ほぼ丸一日事業所の会議室などを会場にして、書類を確認したり、職員にヒヤリングをしたりして行われますが、実際の施設内を見学して設備や掲示物などの確認もおこなわれます。

その際、行政担当者用のマニュアルには次のように書かれています。

現地に行かなければ確認することができない施設・設備等の確認、サービス種別ごとに設定した「個別サービスの質に関する事項」にかかる確認項目及び確認文書に基づき実態を見ていきます。

つまり「利用者にとって見やすい場所に必要な情報が公開されているか」という視点で現地確認がありますので、今一度見やすいところに掲示物があるか確認をしておきましょう。

③サービス選択に資する内容

掲示する目的には、これから介護サービスを利用したい人が、希望するサービスを選べる内容になっているかも含まれています。

ですから、全くサービスを利用したことがない人でも理解できるように分かりやすい内容で掲載することが重要です。

5.まとめ

今回のWEB掲示義務化により、施設運営の透明化が格段に進みました。そして同時に、今まで以上に施設運営の実態はもちろん、サービスの質に至る部分まで様々な情報を誰でも入手できる環境になったと言い換えることもできるでしょう。

つまり、今までがもし「掲示さえしていれば問題ない」と古い情報を放置したままであれば、今後は施設自体のイメージ悪化にもつながりかねないのです。

もしかすると、これからの施設評価の一つに、こういった懇切丁寧な情報公開の姿勢も含まれるかもしれません。

業務に追われて運営規定や文書を整理する時間がないという方やこれからホームページで書面掲示しようという管理者さんは、こちらをチェックしてみましょう。

PAGE TOP